大航海(調べ学習)を始めるにあたって、「調べ学習」がなかなか進まないなど、不安や疑問を感じた方がいらっしゃると思います。そこで、大航海ゼミナールの生み・育ての親であり、現在も指導を受けている片岡則夫教諭、さらに社会教育指導員からの、そうした不安や疑問にお答えするコーナーです。
このQ&Aはー
[平成13年度〜平成18年度版のあすなろ大学「大航海ゼミナール」 "わたしたちの航跡" ]より抜粋し「まとめ」た記述に、一部内容を追加しています。


Q:1
大航海(自主的な学び)−「調べ学習」があすなろ大学に導入された経緯は



Q:2
「調べ学習」の第一歩である=どうしたら自分のテーマを見つけることが出来るのでしょうか?



Q:3
具体的に、テーマを決める秘訣はなんですか?



Q:4
大航海ゼミナールの作品や発表は、どうしたら出来るのでしょうか?



Q:5
発表やレポート提出は、しなくてもいいのですか?



Q:6
大航海「調べ学習」について、心得えみたいなものはあるのでしょうか?





≪船出しよう≫
不安を前に物事を進めるには、進もうと云う意思なのかもしれません。「意思ある所に道は開ける」などといいますが、一歩踏みだせば、なにかしら手応えが有るはずです。勇気をふるって学びの大航海=自主的な学び・「調べ学習」へ船出して下さい。
("わたしたちの航跡"より)



A:1
それは、平成11年(1999年)9月、「情報大航海術」(リブリオ出版)の著者である片岡則夫氏を「地域学」の講師として川島聖恵指導員がお呼びしたことから始まります。
当時(平成10年)、開講から10年が経ち、それなりに充実した学びを続けていた「あすなろ大学」、しかし、担当の川島指導員は、何かが足りない…何かが…。それは、受講生の自発的・自主的な学びではないか!つまり今までの枠からはみ出した新しい学びを探している最中でした。そんな時、東地区文化センターの図書館で一冊の本を見つけました。それは、自主的で探究型の学び(学習)の方法を紹介する同氏の書籍でした。(20周年記念誌より)

同年より講師としてお迎えした片岡先生は、最初は「地域学」の講座を担当し、講座タイトルは「足もとを掘ればそこに泉が湧く」でした。あすなろ大学の皆さんへ"自分のテーマを見つけて、学びの大航海に挑戦しませんか"と呼びかけをしました。翌年には同氏の提案により正式に講座名が、「大航海ゼミナール」となり、同氏の熱心な指導のもと、受講生とのメッセージ交換(大航海通信)もおこなわれています。

この大航海(自主的な学び)の導入で「あすなろ大学」は、画期的な変化を遂げました。以後、現在まで「あすなろ大学」の特徴ある「調べ学習」の手法として受け継がれております。



A:2
テーマを見つける秘訣はあります。 とは言え、結局は自分に正直になって考えると云う以上に優れた秘訣は無いようです。 言い換えれば、自分が何を学びたいか、その心の声に耳を傾けることが大切と云えます。 「なんだ、それでは秘訣でもなんでもないのでは」、でも心でつかんだテーマは自分の「宝物」になると云えます。 これは本当です。
テーマ探しで「何か面白いものは…」と探し回るのは悪い事ではありません。 しかし、「何が面白いか」を最後に決めるのは自分自身です。 自分の「考え方・まなざし」以外にテーマを見つける秘訣はありません。 世の中で騒がれている問題でも、「自分のテーマとしてのふさわしさ」とは、別問題です。

身近で、実にささいな問題の中にこそ、自分が取り組むべきテーマが有るかもしれません。私(片岡)、の決め手となる言葉としては 「あしもとを掘れば、そこに泉が湧く」 です。



A:3
大航海ゼミナールに出席してください。
@特に、1・2年生にとって、大航海ゼミナールの講座は、「調べ学習」をするためのノウハウを教えてくれます。講座に出席して、問うたり、問われたりしてください。例: 頭の体操「発想ひまわり」を咲かせよう、「図書館ひまわり」「学び方ひまわり」で、自由に「ことば」を集めて遊ぼう、そこからテーマ探しのヒントが…等々
A図書館に行って本を手に取ってください。大航海ゼミナール(図書館講座)では、図書館利用術を教えてくれます。
B経験者に話を聞いて下さい。私(片岡)や指導員、先輩に聞いて下さい。「調べ学習」の体験談等を教えてくれます。
C自分のテーマや不安を誰か(班の方も含め)に話をしてください。先輩等に相談することで、なにかアイディアや資料が見つかりますよ。
D他の人のテーマ、世間の情報に頼らないでください。「隣の芝生は青い」なんて言いますが、人のテーマは楽しそうに見えます。 また、世間で騒いでいる事は、興味本位が多いといえます。 しかし、これらが、自分に相応しいかどうかは考えものです。 あくまで、自分の心に聞くことが第一です。
Eまずテーマをきめて調査してみる。 その結果、自分の興味と異なると解かった場合は、退くこと。→「三日坊主」歓迎します。調査してみると、自分の知らない世界が広がって面白くなる場合と、結果としてそのテーマに興味がなくなると長続きしない場合があります。途中で中止しても、決して無駄ではないと思います。つまり、少し回り道をしても、いろいろなテーマに取り組んだ事により、知識の幅が広がったと考えて下さい。



A:4
大丈夫です。というよりも、ご心配には及びません。確かに、出来上がった作品は、発表やレポートは立派なものでした。しかし、別に立派な発表をしたりしなければならないという、義務やノルマは大航海ゼミナールにはありません。
ここは競争の場ではありません。「切磋琢磨」する意味はあっても。自分のテーマを発見して、自分のやり方で学び、楽しんで、それで満足いくものであれば、それで十分です。つまり自分だけの「新大陸」を発見すればよいのです。とはいえ、何かを学ぶときには、互いに意見をもらったリ、楽しんだりする仲間がいた方がいいに決まっています。ですからただ一人でコツコツ学ぶのではなく、お互いに助けあえるような場(班)に相談することをお勧めします。また、社会教育指導員もお手伝いしてくれるはずです。ご安心ください。



A:5
しなければならないと云う、義務はありません。 皆さんは、自分の時間を削ってあすなろ大学に参加されています。 いろんな事情や余裕がない事も考えられます。
大航海ゼミナールは、「自分が学びたいことを時間をかけて探し、そして存分に学ぶ(自主的な学び)」という機会です。 つまり、楽しんで学ぶこと自体が目的ですから、発表やレポートはそのための"きっかけにすぎません"。しかし、「発表やレポート」は、"きっかけにすぎません"と云いましたが、人に対して何かを発表することは、自分の学びを深める良い機会となります。

また、学んだ成果を分かち合う機会が、発表やレポートです。 相互に発表しあうことは、お互いに高め豊かにする機会です。 手間もかかるし、大変ですが、その分やり遂げた後の充実感と言ったら実に爽やかです。(先輩に聞いてみてください!)



A:6
大航海心得 六か条
・「面白がり屋」たるべし(常に、興味・好奇心を持っ)
・すぐに助けを呼ぶべし(社会教育指導員、仲間・班、等に相談、)
・めだかの学校たるべし(先生も生徒も区別なく、生徒が先生になる場合あり)
・競争せず、比較せず(上からの評論、評価は必要ない)
・頑張りすぎに注意
・まとめは、すべて中間報告
 (追加)―大切な事
・中学生がレポートを読んでも、発表を聞いても理解できること
・自分自身が楽しいこと
あすなろ憲章にある≪あすなろ生の心≫ 1.には:
・こころを磨くーあすなろ生は、自分の意思に従って、自由なときに、
自由なテーマで「調べ学習」に取り組みます。
・「調べ学習」は、生涯続く「こころを磨く」ための活動です。